定年後の再雇用でも業務が同じままならば、賃金を引き下げるのは違法――。そんな判決が5月13日、東京地方裁判所で下りました。
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これまでは、定年までの労働契約と、その後の新たな契約は別モノであるとして、賃金額を引き下げて同じ仕事に従事してもらうことも、違法ではないとされてきました。

今回の地裁判決では、「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法に反する」と認定し、定年前の賃金規定を適用して差額分を支払うよう会社に命じたとのことです。

現在の制度では60歳から老齢厚生年金の報酬比例部分を受給できて(生年月日や性別等により異なる)、雇用保険からは高年齢雇用継続給付を受給できるので、定年後に賃金額が低下することに対して疑問に感じる労働者が少なかったのかもしれないですね。

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上級審ではこの判決は修正されるという(有識者の)見方が強いらしいんですが、もし仮に、この判決が上級審でも支持されて確定した場合、日本企業の雇用慣行を大きく揺さぶり、勤続年数が増えれば、同じ仕事をしていて成果が上がらなくても賃金・手当が上がっていく、という日本型サラリーマンの給与システムが、今後は見直されることに繋がるでしょう。