今年6月9日、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)を変更する改正法が衆院本会議で賛成多数により可決された。
自賠責保険とは、交通事故が起きた場合に被害者を救済するための対人賠償金を確保するためにある制度。法律で、全ての自動車に加入が義務付けられている。
 「交通事故の被害者支援を充実させるため」として、現在保険料の一部として、年間「16円」徴収されているが、これを最大「150円」値上げするという法案が通ったのだ。

自賠責保険を預かるのは国土交通省(以下、国交省)である。同省は資金を運用して、その収益も被害者救済に充てている。
 今回問題になっているのは、自動車ユーザーが支払ってきた自賠責保険の積立金7500億円のうち、6000億円を財務省が「借りたまま返済していない」という事実だ。
国交省では残り約1500億円を運用して被害者救済に充てているが、運用益は年間30億円ほどといわれている。対して、実際に被害者を救済するための支出は年間150億円だ。120億円の赤字分をねん出するために、積立金を取り崩しているのだという。
 本来なら7500億円を運用できるにも関わらず、財務省から6000億円返済されていないため、運用益も少額となっている。1500億円の原資で「被害者支援を充実させるため」と国民に負担を強いているが、値上げに至った本当の理由は「6000億円を借りたまま返さない」政府と財務省のせいである。

 国交省の財源が枯渇した原因は、財務省へ貸し出した「6000億円」が返済されてないからという部分が大きいはずなのに、資金が不足したからといって全てドライバーに負担を強いることがあってよいのだろうか?
 今回の自賠責保険の改正案に反対したのは、日本共産党とれいわ新選組だけといわれている。なぜ他の政党はこんな法案に賛成できるのか理解ができない。
 十分な自賠責保険の積立金が確保されていれば、車検のたびに保険料を徴収する必要がなくなるかもしれない。海外には自賠責保険はない。あるのは任意保険だけである。
しかし日本人ドライバーのほとんどが、国から義務づけられている「自賠責保険」と、入るかは強制されない「任意保険」の両方に加入している。
 本来、自賠責保険の積立金が正常に運用されていれば、新たに保険料が引き上げられることはなかったはずだ。我々ドライバーは、馬鹿を見ている。

 法律で自賠責保険の加入を義務付けて料金を徴収しているものに対し、財務省が「借金を返さない」という理由で増税するというのは、どうにも承服しかねる話である。 こんな構図では、いつだって割を食うのは国民だけだ。

 南海トラフが来る前に日本は沈没しそうだな。