国民の怒りが渦巻いている。SNSでは「#確定申告ボイコット」というハッシュタグ付きの投稿が10万件以上にのぼり、国会の衆議院予算委員会でも立憲民主党の城井崇代議士が「確定申告ボイコットという言葉が飛び交っている。この言葉をご存じですか」と質問。
岸田文雄首相は「そのハッシュタグがつけられた投稿が多く見られることは、私も承知している」「あらためて、国民の皆さんの厳しい目を強く感じている」と答弁した。
自民党の政治資金パーティー裏金問題をめぐっては、裏金を受け取った議員は脱税にあたるのではないかという指摘が相次いでいる。
鈴木俊一財務相はこれに関連して「使い残しがある雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断のなかで納税をするという方が可能性としてはあると思う」という回りくどい言い方で、“最終的には議員がそれぞれ判断して納税すべき”という見解を示していた。
議員は納税するかどうかを自分で判断できるという主張に、先週からSNS上では「#納税拒否」「#納税は任意」といったハッシュタグがトレンドになっていた。それに重なる形で自民党が「政治倫理審査会は非公開としたい」という方針を示したことで、納税者の怒りは頂点に達している。
折しも、確定申告シーズン。各地の税務署には納税者が申告や相談のために、行列を作っている。
東京都内のある税務署では、2月26日は3連休明けの平日とあって寒風吹きすさぶなか、外まで行列ができていた。
「納税は個人の自由だろ! 議員センセイは裏金納めてないんですよね?」──税務署の職員によると、そうしたクレームをぶつけられたという。
窓口で相談業務にあたる職員の一人がこう語る。
「国会議員は納めてないじゃないか、国民はなぜ1円単位まで搾り取られているのに、といったクレームは数限りなく聞いています。正直、業務に支障があります。現場では腰を低くして『納税は国民の義務でして』と説明するしかないのですが、『じゃあなんで政治家は義務を果たさないんですか』といったやりとりになってしまい……」
別の税務署で働く職員も嘆息する。 「確定申告シーズンは会場の案内係や事務作業の手伝いとして非常勤職員、いわばアルバイトさんを入れています。そうした人たちはクレーム慣れしていないから、納税者の方から強く言われてしまうと疲弊してしまっています。
あまりに高圧的なクレームはこちらも毅然とした対応を取れるのですが、今年は納税者の方が冷静に『なぜ政治家は裏金を納税していないのか』と問い詰められることが多い。
静かに怒りを表明している人がたくさんいます。
女性の方から『政治家の方たちは脱税しても見逃されるんですね。自営で生活が苦しくてギリギリの暮らしをしている私たちから税金をしぼりとっているのに…』と涙目で言われた時は苦しかったです」 確定申告は3月15日が期限。裏金議員たちは納税するのだろうか。
裏金議員どもは税金を納めろよ。