消費税増税が経済の足を引っ張った

 欧州諸国の付加価値税(VAT)は高率で、当時もっとも高いハンガリーが27%、次いでアイスランドが25.5%、クロアチア、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーが同率で25%となっている。

 さらに、フランス19.6%、ドイツ19%、英国17.5%だから、日本の8%に比べたら高いのは間違いなかった。 しかし、欧州諸国は食料品など生活必需品には軽減税率を導入して税率を低く抑えていた。

 たとえば英国では食料品、 医薬品などの税率はゼロであり、フランスも医薬品は税率2.1%でしかない。 アイルランド、オーストラリアなども食料品の税率はゼロだった。

 岸田政権になってから、「防衛費倍増」「子ども予算倍増」など、「倍増」のオンパレードになった。どれも、緊縮を行わないなら、国債発行か増税するほか手がない。

 すでに、防衛費倍増問題では、復興特別所得税の延長や、所得税、たばこ税、法人税などで1兆円を増税する方針が決められた。

 これは、2024年度から段階的に実施される。 それとともに、〝隠れ増税〟も進んでいる。健康保険料と介護保険料の引き上げ、年金加入期間の延長と支給年齢の引き上げなどだ。

 国民健康保険料は2022年4月に上限額が3万円引き上げられたばかりだが、2023年4月からさらに2万円引き上げられた。年金のほうは、2024年に控えた5年に1度の年金財政検証に合わせて、数々の増額メニューが検討されている。

 中国の諺(ことわざ)に、「苛政(かせい)は虎(とら)よりも猛(もう)なり」というのがある。これは、重税を課す過酷な政治は人を食う虎よりも恐ろしいということだ。

 山田 順  ジャーナリスト・作家

※本記事は『日本経済の壁』(エムディエヌコーポレーション)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。